当院の御本尊である大弁財天は、「水の女神」という意味があります。参道の傍らに「雲井の井戸」があり、一度洗い清めた者は悪鬼邪魅の災いを払うと伝わっています。また、「東北院」は兵乱で再三移転していますが、大弁財天が遷座するところにこの水(雲水)が湧き出し、誠に奇異の名水と言われています。
その「雲井の井戸」の傍で、ホトトギスの花が咲き出しました。花弁に斑点が入る様子が、鳥のホトトギスの腹部に現れる斑点に似ていることから、この名前がつきました。ホトトギスは日陰や少し湿った場所で花を咲かせることや晩夏から晩秋まで可憐な花を咲かせ続けることから、「秘めた想い」「永遠にあなたのもの」「永遠の若さ」という花言葉があります。
花弁は6枚で、白や紫、ピンクに斑点のある繊細な花は、古くから日本で愛されてきました。江戸時代には、その情緒あふれる風流な姿を茶人に好まれ、貴重な花として茶席でよく用いられたようです。今はホトトギスが最も美しく咲き誇る季節であり、秋の深まりと共にその姿を楽しむことができます。