菊は、長寿や不老不死の象徴とされてきました。また、桜と同じく日本の国花として広く知られ、皇室の紋にも使われています。花言葉は「高貴」「高尚」「高潔」「信頼」で、とても気品のある言葉が並びます。
「四君子」とは、蘭、竹、梅、菊の四種を、草木の中の君子として称えた言葉です。中国語の君子は徳や学識、礼儀を備えた人を指しました。蘭、竹、梅、菊の四種の植物がもつ特長が、まさに君子の特性に似ていることから、四君子と呼ばれるようになりました。蘭はほのかな香りと気品を備え、竹は寒い冬にも葉を落とさず青々としている上、曲がらずに真っ直ぐな性質を持っています。梅は早春の雪の中で最初に花を咲かせる凜々しさ、菊は晩秋の寒さの中で鮮やかに咲く姿が好まれました。
「東北院」には、和泉式部が手植えしたと伝わる『軒端の梅』があり、早春に凜として白梅を咲かせています。また、境内にある真っ直ぐに伸びる竹を、時々に本堂にお供えしています。そして、安津宮の御所をいただいた本堂や庫裏の屋根には、菊花御紋が使われております。お檀家さまのない「東北院」ではございますが、高潔で凜とした佇まいを大切にして参りたいと存じます。