桔梗(キキョウ)と蒲(ガマ)を生けました

 紫色の花キキョウの名前の由来は、中国の漢名「桔梗(きちこう)」が、日本に伝わって「ききょう」に変化したという説が最も有力です。他には、花を投げて「吉(きち)」か「凶(きょう)」かを占った風習から、「吉凶(きっきょう)」が転じて「ききょう」になったという説もあります。

 平安時代の陰陽師である安倍晴明は、五芒星を自身の紋に用いました。五角形のキキョウの花は、五芒星と重なり、魔除けや神秘的な力があると信じられ、邪気を払う家の守り花となりました。また、「桔梗」を「更(さら)」に「吉(きち)」と読み、戦国時代には武家の家紋として、広く用いられました。美濃の土岐氏やその一族である明智光秀の家紋として有名です。

 茶色のフランクフルトのような蒲(がま)の雄花から出る花粉は、蒲黄(ほおう)と呼ばれ、古くから漢方で止血剤として利用されてきました。日本神話「因幡の白兎」で、大国主命がサメに毛皮を剥ぎ取られた兎の背中につけてやったのが、この蒲黄(ほおう)です。また、桔梗湯(ききょうとう)は、咳を鎮めたり、喉の痛みを和らげたりする効果があります。

 古来より日本人は、それぞれ花の色合いや形、そして香りに心を和ませてきました。また、魔除けや厄除け、そして生薬として利用する智慧も心得ていました。改めて、日本人が大切にしてきた「心」「智慧」「慈悲」などについて、考えてみたいと思います。